旗本改革男
令和を生きるごく普通のサラリーマンだった主人公は、宝暦八年(1758年)生まれの貧乏旗本の八男坊・徳山安十郎として生まれ変わった。安十郎は現代の知識を持ったまま、とても早熟な若者として成長する。好奇心のおもむくまま、儒学者で蘭学者の青木昆陽に弟子入り、後に『蘭学事始』を著す前野良沢や杉田玄白と交流し、「本所の麒麟児」として評判になった。やがて、御三卿・徳川宗武の三男・賢丸(後の松平定信)の命を蘭学の知識(と現代の知識)を駆使して救ったことから、幕府上層部からも注目されるようになる。しかし、時の権力者である田沼意次は、安十郎の異才を警戒して、卑劣な罠を仕掛けようとしていた……。