〈文庫〉むけいびと 芦東山
江戸時代中期、刑が無くても犯罪が発生しないような理想の世を求め、仙台藩儒学者・芦東山が23年にも及ぶ幽閉生活の中で著した『無刑録』。刑罰は犯罪に対する報復だとする応報刑論が主流だった当時、人間尊重の立場から犯罪者を更生させるための手段との教育刑論を唱えたこの書は、近代刑法論書の先駆けとなるものだった。逆境を乗り越え、己の考えを貫き通した生涯とはーー。
解説=稲畑耕一郎(早稲田大学名誉教授)
解説=稲畑耕一郎(早稲田大学名誉教授)