皇たる鷹は若葉の月を寵愛する
地方貴族の緑月は、父親の自死に疑問を抱き、“黒雀宮”の科挙を志願する。黒雀宮とは皇太子のための宮であり、将来の腹心を育てる学府だが、実際は皇太子の夜伽の相手もしなければならないらしい。それでも、皇太子の覚えがめでたい者は、貴族の最高位である「比翼」の座を手に入れることができる。緑月はその地位と権力があれば、父の死の真相を明らかにする再調査ができると信じていた。しかし、次期皇帝であり皇太子の静鷹は、人の上に立つべくして生まれてきた人物だが、他人には心を許さず、懐に入れるのはごくわずかな身内だけだという。そんな気難しい人物が相手でも、緑月は閨をともにする試験・伽科で野心をむき出しに静鷹に抱かれる。その性質が気に入られたのか、緑月は無事入宮し、その後も静鷹の寵愛を一心に受け甘く抱かれ続けることに。しかし、静鷹の緑月を特別に扱う行動には思惑があり…?