アナイス・ニン文学への視点 小説と日記、作家と創意

アナイス・ニン文学への視点 小説と日記、作家と創意
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21世紀におけるアナイス・ニン研究の学術的基盤となる1冊
独自性を放つ稀有な作家アナイス・ニンの文学の魅力、そして、多重で複雑な自己を生きる起動への探究が描かれた意匠を尽くした言葉に遭遇する愉しみを多方面から様々な視点で研究者が伝える。
第1部では、Anaïs Nin Literary Perspectivesから、珠玉の論考を日本語訳で21世紀の現在へと研究の流れをつなげる。第2部は、ヘンリー・ミラー、ヴァージニア・ウルフ、紫式部、H.D.、サルヴァトール・ダリといった作家や芸術家との関わりを視野にいれつつ、ニンの文学性、時代性などの特徴を読み解く。またライフ・ライティングという視点から多面的に解釈する。
第1部
Fram Anaïs Nin Literary Perspectives
マクミラン社(1997)からの日本語翻訳論文

審美的な嘘
Aesthetic Lies
スザンヌ・ナルバンティアン(Suzanne Nalbantian)翻訳:コリンズ圭子

彼女の独創による二つの都市:『内面の都市』における都市の図像化手法
Cities of Her Own Invention: Urban Iconology in Cities of the Interior
キャサリン・ブロデリック(Catherine Broderick)翻訳:石井光子

詩人、アナイス・ニン
Anaïs Nin, the Poet
アナ・バラキアン(Anna Balakian)翻訳:奥沢エリ

セラピーを超えて:オットー・ランクへの持続的な愛情
Beyond Therapy: The enduring Love of Anais Nin for Otto Rank
シャロン・スペンサー(Sharon Spencer)翻訳:大野朝子

誕生とジェンダーの言語学:男性的/女性的
Birth and Linguistics of Gender: Masculine/Feminine
ラヨシュ・エルカン(Lajos Elkan)翻訳:佐竹由帆

二つの言語の間でーー日本におけるアナイス・ニンの翻訳と受容
Between Two Languages: The Translation and Reception of Anais Nin in Japan
ジュンコ・キムラ(Junko Kimura)翻訳:木村淳子

第2部 アナイス・ニンとその文学思潮を読み解く

アナイス・ニンと紫式部ーーヘンリー・ミラーにおける
本田康典

太陽と月ーー1930年代のヘンリー・ミラーとアナイス・ニン
小林美智代

さえずり機械への頌歌ーーーー冥王まさ子と矢川澄子のグリンプス
矢口裕子

アナイス・ニンと夢
杉嵜和子

男性的規範からの決別の夢ー『人工の冬』と女性シュルレアリスト
鈴木章能

D.H.ロレンスと二人のモダニスト女性作家ーアナイス・ニンとH.D.
三宅あつ子

アナイス・ニンとサルバドール・ダリートラウマ的体験と文化的影響の相互作用についての比較分析
ルッケル瀬本阿矢

女性らしさと均衡ーーアナイス・ニンとヴァージニア・ウルフの自己探求の物語
金井彩香

「流れ」の場としての家に向けてーー『内面の都市』における隠喩としての建築
井出達郎

越境する小説『コラージュ』--アナイス・ニンと廻り環る物語
山本豊子

ニューヨーク公共図書館所蔵のアナイス・ニンによる書簡アーカイヴの概要
ウエィン・アーノルド|渡部あさみ

・付録
A Conference on Anaïs Nin (New York 1994)英文プログラム記載
座談会 アメリカ文学を考える
A・ニン/江藤淳/大江健三郎(『文藝』(1967年2月号第6巻)
・人名・作品名索引
・項目索引
・執筆者・翻訳者紹介(掲載順)
・あとがきにかえて
キャサリン・(ヴリーランド・)ブロデリック 翻訳:石井光子