屋上の名探偵
汗が滲む真夏の昼休み、名探偵と誉れの高い少女は屋上にいた。授業中に学内で起こった、姉の水着の盗難事件に首を突っ込んだおれ。四苦八苦した調査の末に、どうにか容疑者を三名まで絞ったのだが、どうにも決め手に欠ける。行き詰まったおれは、友人から聞いた名探偵の噂を元に、彼女を訪ねることにした。東京からやって来た眼鏡の転校生、蜜柑花子という変わった名前のおとなしめの少女。普段は無口な蜜柑だが、おれの話を聞いて瞬く間に犯人の名前を挙げるーー。鮎川賞作家が爽やかに描いた青春連作ミステリ。文庫オリジナル。