歴史と文学のはざまで 唐代伝奇の実像を求めて
今日のわれわれは中国の幻想奇譚をフィクションとして読みがちである。だが、それらはもともと〈事実の記録〉として書かれ、伝統中国に生きた読者たちもそれを〈事実の記録〉として読んだ。
唐代の知識人は〈楽園〉にどんな理想を込めたのか。〈陰間(あのよ)〉からいっとき戻った妻の語りから見える結婚とはいかなるものか。狐や物の怪にできなくなったことからは武人の出世と文人の不遇が透けて見える。神秘や怪異を語っているようで、じつは当時の社会や風俗を記した実録なのである。
当時の視点で〈唐代伝奇〉を読むとなにが見えてくるのか。中国の幻想奇譚をより深く楽しむための読み方指南。
序章 〈異記〉〈雑伝〉と〈実録〉
一 はじめに
二 『桃花源の記』を例にして
三 まだ見ぬ世界への憧れ
第一章 君臣たちの楽園
一 中国の〈楽園(パラダイス)〉
二 耳の中の異境
第二章 死んだ妻が語るには
一 〈君臣〉〈父子〉と〈夫婦〉
二 唐晅の妻が語るには
三 『唐晅』が語ること
四 馮婆さんが語るには
第三章 妻の実家と夫の処世
一 木偶が語ること
二 韋皋と玉簫の物語
第四章 柏林の奥にひそむもの
一 〈狐神〉の詐術
二 〈天機〉を盗むもの
三 〈天〉の衰微に乗じるものたち
四 〈狐魅〉に侮られるもの
終章 「人虎伝」の系譜が語ること
一 「人虎伝」の系譜
二 〈唐代伝奇〉が語ること
あとがき
図版一覧
唐代の知識人は〈楽園〉にどんな理想を込めたのか。〈陰間(あのよ)〉からいっとき戻った妻の語りから見える結婚とはいかなるものか。狐や物の怪にできなくなったことからは武人の出世と文人の不遇が透けて見える。神秘や怪異を語っているようで、じつは当時の社会や風俗を記した実録なのである。
当時の視点で〈唐代伝奇〉を読むとなにが見えてくるのか。中国の幻想奇譚をより深く楽しむための読み方指南。
序章 〈異記〉〈雑伝〉と〈実録〉
一 はじめに
二 『桃花源の記』を例にして
三 まだ見ぬ世界への憧れ
第一章 君臣たちの楽園
一 中国の〈楽園(パラダイス)〉
二 耳の中の異境
第二章 死んだ妻が語るには
一 〈君臣〉〈父子〉と〈夫婦〉
二 唐晅の妻が語るには
三 『唐晅』が語ること
四 馮婆さんが語るには
第三章 妻の実家と夫の処世
一 木偶が語ること
二 韋皋と玉簫の物語
第四章 柏林の奥にひそむもの
一 〈狐神〉の詐術
二 〈天機〉を盗むもの
三 〈天〉の衰微に乗じるものたち
四 〈狐魅〉に侮られるもの
終章 「人虎伝」の系譜が語ること
一 「人虎伝」の系譜
二 〈唐代伝奇〉が語ること
あとがき
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