中国現代小説の起点 清末民初小説研究

中国現代小説の起点 清末民初小説研究
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『20世紀中国小説史』の第1巻として執筆された『中国現代小説的起点』の日本語版。個別の作家・作品評ではなく、「小説の形式」の変遷に重点をおいて19世紀末から20世紀初頭の中国文学を論じる。「作家紹介」と「小説年表」を付す。
「小説史の執筆は「小説の形式」に重点を置くべきだと私は考え、それゆえ本書は第五章から、特に形式の問題を論じ、〔小説の〕構成、文体、叙述の視点、テーマのパターン、審美〔美への認知〕の特徴などに言及した。一方、第二、三、四章では、外国小説から受けた啓発、小説の商品化と書籍化の傾向および雅俗〔文学作品が高尚か通俗的か〕などの問題を論じ、小説芸術が形成した文化面での時代の空気を描き、この後、小説の形式を専門的に論じるための下地とした。」(「日本語版序」より)
日本語版序
第一章 新小説の誕生
    第一節 小説界革命の発生と発展
    第二節 新小説の推進の原動力
    第三節 新小説のグループの形成
    第四節 二十世紀の中国小説の起点としての新小説
第二章 外国小説の刺激と啓発
    第一節 開眼して世界を看る
    第二節 意訳を主とする時代の流行
    第三節 小説の翻訳実績
    第四節 受容における誤解
第三章 商品化の趨勢と出版化の傾向
    第一節 小説市場の広がり
    第二節 小説家の専業化
    第三節 新小説の商品化の傾向
    第四節 新小説の出版化の趨勢
第四章 俗から雅への変化、そして雅から俗への回帰
    第一節 雅と俗、新と旧のはざまで
    第二節 俗から雅へーー梁啓超らの救世説
    第三節 雅から俗への回帰ーー礼拝六派の消閑説
    第四節 雅と俗の共存の始まり
第五章 集錦式と断片化
    第一節 「珠花式」の構成
    第二節 「集錦式」の構成
    第三節 短編小説の再起
    第四節 「盆景化」と「断片化」
第六章 文白併存の小説文体
    第一節 文言小説と白話小説の盛衰と起伏
    第二節 白話小説と方言小説
    第三節 古文小説と駢儷文小説
    第四節 「独特なスタイル」翻訳文の文体
第七章 官界から恋愛まで
    第一節 「忠奸対立」パターンの消滅
    第二節 「官民対立」パターンの変容
    第三節 情なき恋路
    第四節 三角関係のパターンの文化的効用
第八章 旅人による叙述の効用
    第一節 啓悟(啓発され悟る)という主題と整合性
    第二節 史料(の欠落)の補塡と限定叙述
    第三節 紀行を小説に取り入れる
    第四節 「庶民の苦しみ」を傍観する
第九章 実録、譴責、感傷
    第一節 写実から実録へ
    第二節 風刺から糾弾へ
    第三節 悲壮から哀艶へ

『二十世紀中国小説史』に関する討論会 概要
作家紹介
小説年表