ハートブレイカー

「空涙はやめるんだ。僕は騙されない」
冷たい刃が、彼女の胸に突き刺さった。

カロラインが暴力的な夫のもとを離れて3年が経った。
幼い娘を守りたい一心で家を飛び出し、
郊外の小さな隠れ家に落ち着いたものの、今も夫に怯えている。
そんなある日の夜、ふいに誰かが玄関のドアを叩いた。
現れたのは、夫のいとこで会社社長のニック! なぜここがわかったの?
こちらを蔑むように、彼の目が光る。「君の夫は事故で死んだ……」
君のせいだと言わんばかりなのは、ニックは誤解しているからーー
カロラインのことを、よそに男を作って夫を捨てた酷い妻だ、と。
さらに、夫の衰弱した母を預かっていると告げたあと、彼は宣言した!
「君は僕と一緒に帰るんだ。たとえ引きずってでも連れて帰る覚悟だ」

ニックは自分のいとこが酔うと暴力を振るう男だったとは知らず、カロラインに同情するどころか、ことごとく冷たく接してしまいます。そんなニックに、僕の会社で働けばいいと言われたカロラインは、彼の下で働くなんて絶対にいや、と心の中で叫びますが……。