さよならを告げぬ理由

彼の期待に応えたい。
一生懸命になるうち、いつしか恋を……。

弟の学費を稼ぐため、イゾベルは個人宅に派遣される看護師として、
私生活の時間を犠牲にしながら仕事に励んでいる。
今度の雇い主は、壮大な屋敷に住むハンサムなドクター・ウィンターで、
彼の養育係だった脚の不自由な老婦人をイギリスに呼び寄せたいという。
ところが、ドクターはイゾベルを一目見て顔をしかめると、
若すぎて不適格だと決めつけ、年配の経験豊富な看護師がいいと言った! 
私は弟のために、どうしても働かなくてはならないのに……。
断られる覚悟をしたイゾベルに、ドクターが憂鬱そうに告げた。
「紹介所に相談したが、代わりはいないらしい……君を雇うしかないな」
後悔はさせませんと応えた彼女とは対照的に、彼は硬い表情のままで……。

老婦人を迎えに行く途中、スウェーデンを観光する機会に恵まれますが、ドクターは依然としてイゾベルにつっけんどんな態度をとります。けれど、絵葉書を買うお金がない彼女に代金を差し出してくれたり、湖をゆっくり眺めていてもせかさずにいてくれたり……。