ばらよりも赤く

不埒な誘惑をはねつけたはずだったのに、
6年も経って胸が高鳴るなんて……。


視力を失いつつある幼い娘の手術費用を貯めるため、
ジーナは3つの仕事を掛け持ちする過酷な日々を送っていた。
そんなある日、昼の事務仕事のオフィスに、一人の男性が現れたーー
忘れたくても忘れられない、リアム・シャノン!
亡き夫の友人でありながら、結婚式の日に私を誘惑した男。
私は不埒なキスをされて驚き、参列客の前で彼を平手打ちしたのだった。
あれから6年のあいだ音信不通だったのに、なぜ今になって……?
2年前に夫が事故死したことをジーナが伝えると、
リアムは一瞬ひるんだのち、昔と変わらぬ傲慢さで残酷にも言い放った。
「彼が亡くなったのなら、僕を止めるものは何もない」

ヒロインは実のところヒーローに心惹かれながらも素直に表せないために、二人の関係は激しくもつれ合い……。2020年に惜しくも逝去した名作家エマ・ダーシーが、夫と共作していた時代に描かれた情熱ほとばしる初期作を、《至福の名作選》でお楽しみください。