貴婦人の条件

きみはもうこの館にいられなくなった。
住む家が欲しいなら、ぼくの妻になってくれ。

亡き伯爵の遺言状が、今まさに読み上げられようとしている。
後継者のジャックは、12年前に勘当されて行方知れず。
莫大な遺産は、いったいだれが受け継ぐのか?
ざわめく人々を、伯爵の養女キャスは部屋の片隅でそっと眺めていた。
“スクラップ”--厄介者と親類に呼ばれる彼女は、
今日で屋敷を追われる運命なのだ。
そのとき、ひとりの男が現れて、全員が息をのんだ。
ジャック……放蕩息子は生きていた。遺産も爵位も彼のものとなる。
ところが、驚きはそれだけでは終わらなかったーー
新伯爵はいきなり、キャスに結婚を申し込んだのだ!

リージェンシーを得意とし、風刺のきいた社交界のやりとりを鮮やかに描く作家の名作。亡き伯爵からジャックに課せられた相続の条件は、血縁を絶やさぬために3カ月以内に結婚すること。そこで、最初に出会った結婚可能な女性キャスに求婚したわけですが……。