伯爵と踊れない壁の花

誰からも哀れに思われている私が、
危険な伯爵に恋をするのは高望みなの?

大事な社交界デビューを前にして、ハティは恐ろしくてたまらなかった。
事故で脚に大怪我をした私は、一生不格好にしか歩けない。
世間からは、花嫁としての価値が下がった女、と同情されている。
ところが、ボーフォート伯爵ジャスパーだけは違った。
ハティの兄の親友は世間では手のつけられない放蕩者として有名だが、
とても男らしくて優しく、彼女は幼いころからずっと憧れていた。
おどおどと赤面してばかりで、ろくに口をきいたことはなくても。
そのジャスパーが私に、ワルツを踊ってほしいと言ってくれた。
しかし当日、伯爵が現れることはなく、ハティはみじめな壁の花として
踊る男女を見つめるしかなかった……。

社交界デビューが悲惨な結果に終わったヒロインは、その後とんでもないことを知ります。なんと、ヒーローには愛人との間に子供がいるというのです。母親を亡くした女の子の父親になると決めた彼を、ヒロインはかいがいしく手伝います。恋心は胸に秘めたまま。