蝶になるとき

冴えない家政婦はある日、大変身した。

広告代理店を経営する、イタリア屈指の大富豪アンドレアーー
家政婦のマーシーは雇い主の彼に、密かに想いを寄せていた。
そんなある日、“君にぴったりの役だから”と頼みこまれ、
マーシーはアンドレアの会社が制作する広告に出ることになる。
彼の会社が手がけるのは、美しい宝石や高級品の広告ばかり。
戸惑いつつも、抜擢された喜びにマーシーの胸はふくらむが、
撮影当日に言い渡されたのは、垢抜けない不格好な女の役だった。
やっぱり彼の目に、私はそう映っているのね……。
屈辱と悲しみに頬を染めながら、マーシーはある決意をした。