やすらぎ

ずっと幸せに焦がれていた。

あの事故から、9年ーーゲイルに残されたのは痛みだけだった。
髪の生え際と両腿、右肩から背中にかけての傷跡。
こんな体では誰とも結婚できないと諦めかけていたところに、
女嫌いで有名な、名門の大地主アンドルーに求婚される。
子供の面倒を見るための肉体関係のない結婚でいいと言われ、
鵜呑みにしたゲイルは周囲の反対を押し切って、
子供が産めない体だという事実を言えないまま承諾してしまう。
そのせいで、どれほど彼を愛したくても愛せない、
新たな痛みを生み出すことになろうとも知らずに。