死にたいのに死ねないので本を読む

死にたいのに死ねないので本を読む
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ホフマン、ボードレール、マラルメ、ニーチェ、ハイデガー、バタイユ、
藤原定家、上田秋成、波多野精一、九鬼周造、塚本邦雄、三島由紀夫……。
十六歳で自殺未遂を犯してから、文学書、思想書は、著者にとって唯一の心の拠り所であった。
角川短歌賞・現代歌人協会賞受賞の歌人・研究者が、古今東西の名著のエッセンスを、
読書時の記憶を回想するとともに紹介する。

佐々木敦氏(思考家)推薦!
本書を読むと、著者がかつて、重度の反時代的文学少年だったことがわかる。
そして彼は、そのまま大人になった。
「書物への旅」は、書物「と」の旅、書物「から」の旅、でもある。
この「旅」の、なんと蠱惑的で、かつ過酷なことだろうか!


<目次より>
はしがき

1 記憶ーー十二の断章
一行のボオド「レエル」--『パリの憂愁』
傍観者のエチカーー『エチカ』
存在と弛緩ーー『存在と時間』
記憶の周波数ーー『物質と記憶』
浅茅が宿の朝露ーー『雨月物語』
放課後の物騙りーー『アクアリウムの夜』
コッペリウスの冬ーー『砂男』
雨はライプニッツのようにーー『形而上学叙説』
カフカと父親の話ーー『文学と悪』
かるてしうす異聞ーー『省察』
アナベル・リイ変奏ーー『美しいアナベル・リイ』
書かれざる物語ーー『二人であることの病い』

2 書物への旅ーー批評的エセー
世界は一冊の書物ーー『マラルメ詩集』
ブライヤーは何の花?--『思想のドラマトゥルギー』
木漏れ日の哲学者ーー『喜ばしき知恵』
終る世界のエクリチュールーー『渡辺一夫敗戦日記』
ある自伝の余白にーー『闇屋になりそこねた哲学者』
美とは虚無のまたの名ーー『定家百首』
時間についてのエスキースーー『時と永遠』
劇的人間と劇場型人間ーー『岬にての物語』
視ることのドラマトゥルギーーー『内的体験』
ジル・ド・レ覚書ーー『異端の肖像』
一輪の花の幻ーー『夏の花』
翻訳の悪無限ーー『「いき」の構造』
さよならの不可能性についてーー『さよならを教えて』

あとがきにかえてーー「早稲田の文学と私」