【POD】人の世の物語
本書は、筆者が平成二十二年八月から令和元年九月まで書き綴った短編の物語十篇を収録したものです。各篇は、それぞれ独立した物語ですが、現在・過去・未来と時空を超えた変幻自在の楽しくて面白い内容となっています。各篇に共通しているのは、囲碁好きな人々の囲碁対局が絡んでの、哀歓漂う人生模様が語られていることです。 時代的には、昭和の戦争終結後から平成に至る、価値観の根源的な変換の時期であり、その中でも、特に昭和の空気が、いくつかの場面に、今となっては郷愁ともいえる情景で出てきます。 そのような変動期を駆け抜けた人々の、戦後の価値観の体現に向けた生き方の表出であると同時に、人類の未来にも思いをはせた物語の展開となっています。 加えて、各篇の表題のページには、筆者が考えた詰碁を呈示していますので、興味のある方は、ご覧ください。