吉本隆明全質疑応答4
吉本は、このあたりから、親鸞の「死という比喩の場所」=「浄土」からこちら側を視たらどう視えるかという問いと重なりながら、自分独自の論理を打ち立てようとしているようにみえる。それが「離脱」というテーマだ。自分を視ているもうひとりの自分を設定できるかどうか、「知識でないもの」から「知識であるもの」を客体視できるかどうか、というように親鸞の問いを自分の問いに変容させている。自分にできるのならば、万人にできるはずだ、自分がそれで救済されるなら万人が救済されるはずだ。(「解説」より)