愛しいあなた

愛しいあなた
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何を書くか、どうコラージュするのか、その細かな取捨選択に宿る煌めき。
読みながら、自分が出会ってきたあらゆる愛しい人を思い浮かべたけれど、読み終える頃にはこの小説が、愛しいあなたになっていた。
ーー​金原ひとみ(小説家)


エッセイ・リウは生来のストーリーテラーだ。独特の作風には絶えず比喩が混ざり込むーーきっぱりと鋭く、びっくりするほど。彼女の短編小説を読んでいると、ラインすれすれに打ち込む一流のテニス選手のように思えてくる。一回打っては打ち返し、正確にしかもリズミカルなラリーが続く。目の前ではずっと続くように思えていても、突然のスピンボールに相手が戸惑っている時、ポイントを奪ってしまう。読者は短編小説を読んでいくうちに物語に引き込まれ、劉梓潔の世界に完全に入り込んでしまう。
ーー侯文詠(作家・医師)


劉梓潔は二十一世紀台湾人女性の声を代弁する。物語を紡ぐ時、不要な説明は避け、場と場を繫ぐ説明も省かれる。彼女が描き出す言葉には強い自信が表れ、受け身で、解釈されることを待ち、意味づけされるのを受け入れるだけの女性は出てこない。物語をシーンごとに繫げていくと、それはまたカットごとに自ずと繫がっていくのである。女性の物語や男女の物語はここから語り出されるのだ。
ーー陳芳明(台湾文学研究者)


『父の初七日』監督・脚本のエッセイ・リウ。
映画の原作エッセイがベストセラーとなった作家の最初の短編小説集。


子供が欲しい。でもそれってホルモンのせい?でも、過ぎてしまえばそれでいいなんて私は思わない…「愛しいあなた」。母親には永遠にわからないだろう。それは四倍の愛なのだ。母と父の役目で二乗。会えなかった最初の息子の分でさらに二乗だって…「プレゼント」。私は年上の人しか好きになれないんです。父の秘密と私の恋…「失明」。台湾の現代女性の愛と痛みを衝動的に描いた短編小説集10編。