モダン・ユートピア
実現しうる理想社会か、行きすぎた管理社会かー。シリウスの彼方に位置するもうひとつの地球で優秀なサムライたちが営む世界統一国家の様相を描いた実験的小説A Modern Utopia(1905年)の初めての完訳。その先進的社会像は、ウェルズによる当世批判であり、先人たちのユートピア観を乗り越える、より現代的で実際的な段階的変革の提示でもあった。ウェルズが追い求め続けた理想の可能性と限界は、本書で明らかになる。本作の思想的背景や問題点に光を当てる訳者解説を付す。