ジョージア近代文学のポストコロニアル・環境批評

ジョージア近代文学のポストコロニアル・環境批評
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ロシアの植民地として過酷な変容を迫られた十九世紀のジョージア。この地の若き知識人たちは、北のカフカース山脈を越えて、宗主国ロシアに新たな知見を求めねばならなかった。彼らは、その時代の何と、どのように格闘したのか。ジョージアを代表する二人の作家、イリア・チャヴチャヴァゼ、ヴァジャ゠プシャヴェラを対象に、二人の作品群をポストコロニアル批評として大胆に読み解いていく。ジョージア近代文学を環境・動物批評など新しい文学理論を駆使して解読し、新機軸を打ち出す。
第一部 知識人イリア・チャヴチャヴァゼと植民地ジョージア
 第一章 序論──ロシアの「東洋」としてのジョージア
  1 ジョージア文学の練習曲
  2 ロシア文学のポストコロニアル批評
  3 ジョージア文学のポストコロニアル批評
 第二章 『旅行者の手紙』のパロディ、アイロニー
  1 イリア・チャヴチャヴァゼと『旅行者の手紙』
  2 オリエンタリズムの転倒
  3 植民地主義へのアイロニー
 第三章 『旅行者の手紙』の地詩学
  1 ジョージア・ロマン主義の地詩学的戦略
  2 地詩学の利用法
 第四章 二人の怠け者
  1 『彼は人か⁈』と『オブローモフ』
  2 ルアルサブの周囲と歴史的コンテクスト
  3 教育=啓蒙
 第五章 内と外の植民地
  1 『オブローモフ』の物語構造
  2 『彼は人か⁈』の物語構造
  3 対位法的読解
第二部 ヴァジャ゠プシャヴェラとポストコロニアル・環境/動物批評
 第六章 ポストコロニアル・環境/動物批評
 第七章 「あらゆるものに舌がある」
  1 ヴァジャ゠プシャヴェラと叙事詩『蛇を食う者』
  2 蛇・カジ
  3 自然の声が聞こえること、あるいは自然が声を発すること
  4 花・麦穂の自己供犠
  5 「もう聞こえない」
 第八章 死の贈与
  1 自己供犠の由来
  2 デリダの贈与論・キリスト教論
  3 麦穂の死の贈与とエコトピア
 第九章 パンヒューマニズムの作家たち
  1 擬人法
  2 パンヒューマニズム
  3 同時代性
 第十章 結論──イリアとヴァジャ
 付録 旅行者の手紙──ヴラジカフカスからトビリシまで
 あとがき
 初出一覧/参考文献/人名索引