春山行夫と戦時下のモダニズム

春山行夫と戦時下のモダニズム
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抑圧的な状況下においても、
人は自らの意志を貫くことができるのか?

「巨大なリアリズム」としての総力戦(戦争)において、詩人、批評家、雑誌編集者の春山行夫は、従来の文学が無効になりつつある状況に直面しつつ、敵か味方という基準ではなく、あくまでもモダニズム的合理主義によって戦争=現実に対峙しようとした。戦時下、非合理的な言説を拒絶し物量こそが勝敗を決することを主張することで生きるためのモダニズムを貫いた春山行夫の軌跡をたどる。
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【目次】
はじめに その墓の新しさーーモダニズムを見送る春山行夫
第1章 文学のモダニズムとモダニズムの文学
  1-1 「抒情詩の本質」--環境に適応するモダニズム
  1-2 文学のモダニズムから世界のモダニズムへ
第2章  外地と内地のモダニズム
  2-1 新しい場所を求めてーー春山行夫の「外地」への旅
  2-2 「客船」と「郵船」の間でーーオーデンと春山行夫の海洋
第3章  距離の観点と量的観念
  3-1 満州の新しさとモダニズム
  3-2 政治的、冒険的、文学的
  3-3 モダニズム・「thing」・アメリカ
  3-4 海と空ーー太平洋文学論

第4章 文学から遠く離れてーー満州を読むこと
  4-1 失われた「小説」と「文学」--新しい文学としての満州
  4-2 廃墟から始まる詩ーー「熱河 fragment」と「生活」

第5章 宣伝・編集・モダニズム
  5-1 「高文化」と「低文化」
  5-2 新体制・国民文学・アマチュア
  5-3 出版文化・軍人・モダニスト   
第6章 モダニズムとプロパガンダーー春山行夫の戦争
  6-1 垂直線と平行線ーー日本文化の近代性について
  6-2 駱駝と海豚ーー「批評」としての「文学」
  6-3 モダニズムとプロパガンダーー東方社と『FRONT』
おわりに あるモダニストの戦時下の肖像
  「我々」と「遠い外国の作品」
  個別と総体ーー「兵隊さんの顔」と「鉄塔」

引用文献
あとがき
人名索引